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陳述書の記載のポイント

破産申請に必要な「陳述書」の一般的な雛形と記載の仕方を解説いたします。

陳述書は、裁判所が債務者の支払不能状態を詳細に把握するために提出するものです。また、免責許可についての審理の材料ともなります。

多額の負債を抱えるに至ったいきさつを具体的に記載することが特に大切です。多額の債務が免除してもらえるかのキーポイントとなる書類です。

今後の見通しなどを記載する欄がある裁判所もあります。

各地方裁判所によって書類の雛形は異なるのでご注意ください。事前に必ず地方裁判所にお問い合わせください。

ここでは、一般的な陳述書を想定して記載のポイントを述べています。


△自分の名前を記入し、印鑑を忘れずに押します。過去10年間の経歴を古い順に記載します。「就業先(会社名など)」の欄には、会社名や屋号の正式名称を記入します。

「地位」の欄には、部長、係長などと記入し、「内容」の欄には、営業、一般事務などと記載します。無職ならその旨を記載します。


△現在の仕事の就業した時期、勤務先、地位・内容を記入し、給料明細を見て、月収やボーナスの額を書きます。

勤めている人は、最近2か月分の給料明細のコピーを、過去1年分の源泉徴収票か区役所発行の課税証明書のコピーを必要書類に添えて提出します。

事業を営んでいる人や過去2年以内に事業を営んだことがある人は、別紙に事業内容、請負内容、従業員の状況などがわかるように記載し、自営の人は過去2年分の所得税の確定申告書のコピーを、会社代表者の場合は過去2年分の事業年度分の確定申告書と決算報告書のコピーを提出します。

書類が用意できたら、□を塗りつぶすか、レ点を入れます。

無職の場合は、健康上就職不可能という理由以外は通りません。無職の方はハローワークに通うなどして仕事を探して意欲のあるところを見せることが大事です。


△過去に離婚をしたことがある人はあるに、ない人はないに○をつけます。
あるに○をした人で、財産分与をした人はあるに、していない人はないに○をつけます。

財産分与をしたことがある人は、何を分けたのか、いくらものかを記載します。財産分与したものが不動産の場合は、登記簿謄本を必要書類に添えて提出します。


△家族や同居人の氏名、関係、年齢、職業、月収について記載します。
「同居/別居」の欄には、該当する方の□を塗りつぶすかレ点を入れます。家族に十分収入があったとしても、家族に返済を強要することはありません。

現在住んでいるところについて記載します。賃貸に住んでいる場合は賃貸借契約書のコピー・住宅使用許可書のコピーを、社宅・寮に住んでいる場合はそれを証明する書類を必要書類に添えて提出します。

他人の家に住んでいる人は、その家の所有者が作成した居住証明書を必要書類に添えて提出します。

△初めて消費者金融やクレジットカードを利用した時期、金額、そのときの職業、その使い道などについて記載します。□は塗りつぶすかレ点を入れます。

多額の借金をした理由について、①~⑦であてはまるものの□を塗りつぶすかレ点を入れます。

①の生活費が足りなかったというのは免責がおりやすい理由のひとつです。給料が減ったためお金を借りた、病気で入院したので医療費に充てるため借入れをしたなどの理由を記載します。

②のちょっとした旅行や浪費でない程度の買物、気分転換程度のパチンコ等ならチェックする必要はありません。

所得の大半をギャンブル・風俗・エステなどに使用した場合がここに当てはまります。

ただ、このような場合は免責不許可事由にあたるので、この欄にチェックを入れることは熟慮が必要です。

③の経営に失敗したというのは免責がおりやすい理由のひとつです。もし、経営に失敗して破産を申し立てたなら、この欄にチェックを入れます。

④の仕事上の接待費の立替払い、契約金の立替払い、営業の穴埋めなどは、該当する人はチェックを入れます。

⑤の住宅ローンが払えなくなったためという理由で借金をして、破産するという人は多いので、この欄にチェックを入れても問題ありません。

⑥の他人の借金を保証したためという理由もやむをえない事情なので、免責がおりやすいです。

⑧には、①~⑦でチェックを入れたものについて、その事情を古いものから順にくわしく記載します。チェックした内容とここに書く事情との間に食い違いがないようにします。

裁判所は書面の整合性に注意を払っているので気をつけてください。また、債務増加の経緯が気の毒であると裁判所に思わせる内容にしなければなりません。

破産申立を認めるかどうかにかかわる重要な資料なので書く欄が足りないときは、同じ大きさの用紙(A4判)に記載して、陳述書の直後につけます。


△借金を全額返済できないと思い始めた時期は、だいたいで結構です。申立をする直前の日付を記載すればよいです。あまり以前の時期を記入すると、返済ができないとわかっていて今まで借金をし続けていたのかとと裁判官の心象を悪くする恐れがあります。

その理由で該当するものの□を塗りつぶすかレ点を入れます。

借金の返済ができないと思い始めてから、「借金をしたり,クレジットカードを使ったこと」や「一部の債権者に返済したこと」があるなら、【 ある・ない 】のあるに○を、ないならないに○をしてください。

借金を全額返済できないと思い始めた時期を申立をする直前のことと考えて、ないに○をしてもかまいません。

自己破産をする人の中には自転車操業をしている人も多いので、もしこれに該当しても特に問題はありません。

手形不渡りをだしたことや銀行取引停止処分を受けたことがある人は【 ある・ない 】のあるに○をつけます。

破産の申立て費用の調達方法は、「借入れ」以外の欄にチェックを入れた方がいいでしょう。


△債権者と話合いをしたことがある場合はあるに○を、ない場合はないに○をつけ、あるに○をした人はその下の該当するものの□を塗りつぶすかレ点を入れます。そして、その結果も書きます。

訴訟、支払督促、差押え、仮差押えを受けている人はいるに○をして、その下の表に裁判所名、種類、事件番号、相手方を記入してください。裁判所から送られてきた書類を見ればわかります。受けているに○をした人は、訴状、差押・仮差押決定書などのコピーを必要書類に添えて提出します。


△生活状況等の1~8で該当するものがあれば、□を塗りつぶすかレ点を入れます。これは免責不許可自由があるかどうかを調べる質問です。常識的なレジャーの出費程度ならチェックする必要はありません。

1~3に該当しているものがあれば、その下の表に内容(パチンコ、バーなど)、行っていた時期、回数、使った金額を記載します。

4にチェックをした人は、「4 海外旅行」に行き先、旅行時間、用、目的を記載します。これは免責不許可事由に該当しません。正直に答えても通常は問題がないでしょう。

5にチェックをした人は、「5 10万円以上の物の購入」に、品物、購入時期、価格、品物のある場所を記載します。

浪費でない程度の買物は免責不許可事由ではないので、浪費をしていないのであれば正直に答えても問題はありません。

6にチェックをした人は、「6 カードで買った商品の換金」に、品名、購入時期、価格、品物のある場所を記載します。

カードで買った商品の換金は免責不許可事由になります。できれば極力チェックしない方がいい項目です。カードで買った商品を換金した具体的な事情をその下に記載します。もし、書き足りなければ、自分でA4の紙を用意して記載します。

7にチェックをした人は、「7 他人の名前を使った借入れ、生年月日、住所、借金総額や支払予定についてうそをついた借入れ」に、借入先、借入時期、借入金額、うそをついた点を記載してください。

これは免責不許可事由になる可能性があるので、できれば極力チェックしない方がいい項目です。

8にチェックをした人は、「8 過去の破産」に、時期、裁判所名、免責の有無とその理由を記載してください。その当時、裁判所から送られてきた書類を見ながら記載します。

前回免責がおりてから7年たっていない人は免責不許可事由に該当するので、免責がおりません。別の債務整理を考える必要があります。

過去に免責を受けたことがある人は、破産手続開始、免責許可の決定書のコピーを必要書類に添えて提出してください。ほとんどの方は関係のない項目といえます。

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