自己破産手続き
自己破産手続きは、弁護士に頼まなくても債務者自身でも充分できます。
実際に、自分で申し立てて借金が免除されている方は多数おられます。
申立ての書類などの話に入る前に、手続きの大きな概要をここではつかんでください。
自己破産手続きは、大きく2段階に分かれます。
まず、最低限の生活用品などを除いた財産を全て売却し、債権者全員に配当を公平に分配する段階です(破産手続き)。
次に、裁判所の決定によって残りの債務を返済しなくてもよいことにしてもらう方法です(免責手続き)。
さて、破産手続きについてですが、自己破産する方はほとんどめぼしい財産がないのが普通です。
ですから、裁判所が破産開始決定をしても債権者に財産の配当をすることができません。そこで破産手続開始決定と同時に破産手続きも終わりにしてしまうのが通常なのです。
これを破産開始決定と同時に廃止決定することから「同時廃止事件」と呼ばれています。
財産がないので破産者の財産を競売する破産管財人(通常弁護士)がわざわざ選任されるようなこともありません。
個人の自己破産(消費者破産)申立ての90%以上が同時廃止事件となっています。そこで当サイトでは、同時廃止事件を中心に取り扱っています。
もし、破産手続開始決定の時に建物や土地などの財産があれば、裁判所により選任される破産管財人により財産は競売されます。
そして、競売によって得られた金銭を債権者に公平に配当します。こちらは、「管財事件」と呼ばれます。
同時廃止の場合は、破産管財人も選任されませんし、破産者の財産も処分されることもありません。
さて、この後に重要な免責手続きが控えています。同時廃止事件にしろ管財事件にしろ、裁判所の免責許可の決定が確定しないと借金はなくならないのです。
免責手続きは、破産手続開始の申立をした場合には同時に免責手続(免責許可)の申立をしたとみなされています。
ですから、破産手続開始の申立と別個に免責手続(免責許可)の申立をする必要はありません。
免責が確定すると借金はゼロになり、職業制限などのデメリットもなくなります(復権)。
なお、破産手続開始決定があると、財産に対する差押手続は停止し、新たな差押もできなくなります。
そして、免責が決定すると、中止していた差押えの効力は消滅します。