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住宅ローンに関する特則とは その1

住宅ローンに関する特則(住宅資金貸付債権に関する特則)とは、住宅ローン債権を他の債権と区別して特別に扱うというルールのことです。

小規模個人再生手続き、給与所得者等再生手続きのどちらにしろ、住宅ローンを抱え、返済が困難な状況にある個人は、住宅ローンに関する特別のルールを使うことができます。

住宅ローンに関する特則を利用すると、返済期間の延長、弁済の猶予が可能となります。

住宅ローンのように金額が大きな債権については、債務者の不動産に抵当権が設定されているのが通常です。

返済が滞った場合、住宅ローンの債権者(銀行等)は、その抵当権に基づき、その不動産を競売にかけ、そこから債権を回収することになります。つまり住宅を失ってしまいます。

しかし、個人再生の申し立てをする際に住宅ローン特例を利用すると、住宅ローンの融資を受けている債権者から抵当権を実行されるという事が回避されます。

支払が遅れていたのが、住宅ローン特例により弁済期間が先延ばしになるので支払の遅れが無い事になるからです。

また、住宅ローン特例を定めた再生計画認可前でも、裁判所は抵当権の実行手続の中止を命ずることが可能となっています。

つまり住宅ローンに関する特則を利用することで、住宅を手放さずに借金整理ができるのです。

もちろん、住宅ローンを抱えていても、住宅を維持するつもりのない方は、住宅ローンに関する特則を利用する必要はありません。

■住宅ローンに関する特則に関して注意していただきたいこと

個人再生手続きでは、借金の一部を免除してもらえますが、住宅ローンの返済額に関しては例外で契約したとおりの金額を返済しなければならないことです。

今後の住宅ローンの返済方法の変更(支払いの繰り延べ)のみなされるだけが基本です。住宅ローンの金額のカットはないのです。

■住宅ローン特例は、どのような住宅ローンにも適用されるわけではありません。

適用されるためには、①住宅の建設もしくは購入に必要な資金または住宅の改良に必要な資金の貸付にかかる分割払いの定めがある、②住宅ローンまたは住宅ローンを保証する保証会社の求償権の担保として、抵当権が設定されていることが必要です。

なお、住宅に住宅ローン以外の担保が設定されているときは、住宅ローンに関する特則は認められないことも知っておきましょう。

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