特定調停制度メリット
特定調停制度は、通常の民事調停より有利な点があります。
1つは、調停委員が貸金業者に取引履歴開示をすることができることです。
取引履歴開示は、債務残額(又は、過払い金)の把握に大変役立ちます。
もし、貸金業者が応じなければ、10万円以下の制裁があります。
他には、給与の差押さえなどを裁判所の裁量で停止してもらえることです。
さらに、下記のようなメリットが特定調停にはあります。
◇申立て費用が安価です。
弁護士に任意整理を依頼した場合、貸金業者1社につき4万円以上(着手金2万、成功報酬2万)が 相場です。
しかし、自分で特定調停の書類を作成して申し立てるのであれば、裁判所に納める印紙と郵便切手代金だけで、1社あたり800円前後で申請できます。(詳しい金額は各都道府県の簡易裁判所によって異なります)。
◇申立てが法律知識の乏しい人でも利用ができる。
特定調停では、サラ金業者などの債権者と行う交渉を、申し立てた本人の代わりに裁判所の調停委員が話をつけてくれますので、法律知識が乏しい方でも問題なく解決ができます。
つまり、弁護士に任意整理を頼む場合と同様な効果が得られます。ただ、調停委員にもあたりはずれがありますので、ご用心ください。
◇他の債務整理方法に比べて、最も早期に解決できる。
自己破産や個人再生、訴訟手続きが、申立てをしてから解決までに半年以上を要するのに比べて、特定調停は申立ててから2ヶ月~4ヶ月程度でスピード解決することもできます。
◇7年以内に過去に自己破産をしている方も利用ができる。
過去7年間に自己破産をして免責がおりている人がヤミ金などからお金を借りた場合、2度目の自己破産による免責の利用はできません。
このような方の救済策としても特定調停は有効です。
◇誰にも知られることがない。
特定調停手続は、原則として裁判所と債権者以外に知られることはありません。裁判所で他人の傍聴されることもありません。
自己破産のように官報に名前が載ることはないのです。
◇不動産などを売却する必要はない。
自己所有の不動産屋や仕事上必要な自動車などを売却する必要がありません。
◇資格制限はありません。
自己破産の場合、税理士や警備員になれないなどの資格制限がありますが、特定調停には資格制限はありません。
◇借金総額が少なくなる。
利息制限法に基づいて借金を計算し直し、残金を減らすことができることです。適正な残金での返済計画を立てることができます。
貸金業者との合意により契約で決められている利息は、「利息制限法」の上限利率大幅に超えた高い利息を支払う契約をしている場合があります。
このように法律で定められている以上に多くとっている部分は、その多くとった部分については契約は無効です。本来、支払わなくて良いのです。
なお、調停委員は、貸主に対して全ての取引内容を提出するよう命令できます(取引履歴の強制開示)。この取引内容を記載した書類から本当に法律上支払うべき残りの債権が判明するわけです。場合によっては、すでに支払う債務が残っていない方もおられます。
◇サラ金の取立てが止まる。
調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすること」は禁止されています。
消費者金融業者等の貸金業者の取立てに悩んでいる人は特定調停の申立てをして取立てを止めることができます。
◇申立てが受理されると返済は一時ストップ
支払う額や方法が決まるまでのその期間は、返済をしなくても良いことになっています。